ベルツの日記 上
トク・ベルツ 編 菅沼 竜太郎 訳
明治9年から26年間,東大医学部のお雇い教師であったドイツ人医師ベルツ(1849―1913).この日記は原題を「黎明期日本における一ドイツ人医師の生活」といい,かれが日本人妻ハナとの間にもうけた長男トクの編になるもの.上巻には来日直前から日露開戦前夜までの記事をおさめる.
ベルツの日記 下
ベルツの交際は皇室や伊藤博文・井上馨ら多くの高官をはじめとしてあらゆる階層の人々に及んだ.それがこの日記を明治裏面史の興味深い記録としているが,ここにはまた内外情勢に対するかれの並々ならぬ洞察力がうかがわれる.だが何よりも我々をうつのは日本を愛してやまなかったベルツその人の姿である.(解説=酒井シヅ)