




【基本情報|Release Information】
レーベル:Orange House Records
品番:ORF-5010
フォーマット:LP
国:Japan
リリース年:1980年
タグ:City Pop, Disco, Funk, Japan, Studio Work, 1980s
【構造と文脈|Structure & Context】
このアルバムは、明確なシティ・ポップ文法に沿いつつ、よりファンクネスを増幅させた滑らかな設計で貫かれています。複数の編曲家が各楽曲に異なる空間性とリズム処理を与えており、特に石田勝範によるA1「アディオス」、久米大作のB5「たたずんだ街角」では、ローエンドの粒子が乾いたミキシングと絡み合い、スネアの残響に都市の残像を映し出します。山下達郎が編曲を手がけたA2「Dream In The Street」は、複層的なコーラス配置と抑制されたストリングスが織り成す空間制御により、浮遊感とともに「夜の歩道」が想起されるトラックであり、都市的サイケ地図としての達郎的構造美が聴き取れます。佐藤博がアレンジを担当した「冷たい雨」や「My Prayer」では、音場全体が濡れており、空間に拡がるリバーブが感情の揺らぎを視覚的に描写するかのような錯覚をもたらします。
1980年、都市文化と録音芸術が高度経済成長の残響を引きずりながら「個」の内面へと沈潜しつつあった日本において、本作はその「都市の夜の気配」を複数のスタジオ(Sound City、Sunrise、Media)を横断しながら封じ込めたアーキタイプのひとつです。プロデューサー野田浩一を中心に、当時の精鋭スタジオミュージシャンが多数動員され、演奏とアレンジがコンセプト主導ではなく、音響的な質感とエモーションのミクロな調整によって編まれたことが、この作品の多彩さと統一感の同居を可能にしています。
また、池田典代本人がいくつかの楽曲で作詞・編曲に携わっており、女性アーティストがスタジオ録音物において音楽的主体性を手にする過渡期的姿勢が確認できます。これは、当時の音楽産業構造における女性作家のポジショニングの揺らぎを反映しており、記録物としての本作に制度批評的な含意を与えます。ジャズ/フュージョンから流入する即興的手法、ディスコ/ブギーの高揚感、AOR的洗練の三者が交差する本作は、録音芸術としての「都市的エモーションの設計図」であり、その意味で知覚の考古学的マップとしても聴取可能です。
【状態詳細|Condition Overview】
メディア:NM(非常に良好)
ジャケット:VG+(軽度の使用感あり、全体的に良好)
付属品:帯、インサート付属
【支払と配送|Payment & Shipping】
発送:匿名配送(おてがる配送ゆうパック80サイズ)
支払:Yahoo!かんたん決済(落札後5日以内)
注意事項:中古盤の特性上、微細なスレや経年変化にご理解ある方のみご入札ください。完璧な状態をお求めの方はご遠慮ください。重大な破損を除き、ノークレーム・ノーリターンにてお願いいたします。