小笠原諸島の中に浮かぶ、ある小さな島。東京から南に1000kmも離れたその島には、さまざまな過去をもつ男女七人が、数年前から暮らしていた。ある日、彼らは、日本からの独立を宣言する。国名は多生島共和国。そして驚いたことに、総理大臣は十七歳の少年だという。独立宣言を記した国書を受け取った日本政府は不快感を示し、マスコミは飛びつき、日本中が動揺した―。これは、日本での生活に馴染めない人間たちが、自由を求め夢想した、壮大な物語。