夕ぐれのベランダで、港に沈む陽を眺めながら、缶ビールをあけて考える―。最初の小説を書きあげる決心をさせたスクリーンの女のこと。野球に明けくれた少年時代、諌早、佐世保、札幌と移り住んだ町のこと。息子の縁談に熱心な母のこと。「永遠の1/2」で鮮烈にデビューした新進作家の誕生から今までの全軌跡。乾いたユーモアとアンニュイな優雅さが魅力のオリジナル・ファースト・エッセイ。