







サイズは、径11,8×高さ6,2×高台径4,6×蓋をした高さ9,5㎝です。明治期の頃のものです。古い物ですが、気になるような傷みはございません。美品です。
木製刳りぬき生地に鉄錆螺鈿蒔絵が施された味わいのある侘び・銹びのお椀です。蓋裏は大変豪華な蒔絵が施されています。
鉄錆塗と言いますが、錆を盛り上げて描く錆絵の加飾技法のことをさします。
鉄錆塗の代表的な品物である吸物椀では、蓋表に、梅に鴬の模様を錆で盛り上げ、所々に青貝が埋めてあります。
一見して、さびた鉄の鋳造品のような印象がするように仕上げてあります。
錆絵と言っても、下地用の錆とは違い、砥の粉と生漆を混ぜてから、水を混ぜてゆる<した錆を、染色用の絞り筒に入れ、絞り出すようにして、模様を筒描きします。
蓋裏は朱塗りの上に、会津の代表的な模様である富士山に帆掛け船が、消蒔絵と色漆のぼかしで描かれています。
明治20年頃から大正5年頃まで、盛んに行われた技法で、鉄錆塗は女子の手間仕事だったと言われています。
参考資料
『めぐるの蓋付椀・会津鉄錆
江戸時代藩主松平家のもと、会津で生産されていた漆器の中に「會津繪」の他に「鉄錆繪」と呼ばれるものがあります。外見は渋く落ち着きがあり、筒描きで梅とウグイスが立体的に描かれています。雪深い里の梅、春を待つウグイスの図柄は会津ならではのものと云えるでしょう。蓋物の内絵には富士と帆掛け船の蒔絵が施されています。
江戸から明治への大きな次代の変化と共に幻となっていたこの鉄錆繪は、昭和49年に会津の伝統工芸品としての国指定を受けております。
百数十年の時を経た今、ようやく復元に至りました。手作りの限定品でございます。