19歳、童顔のアイドル・高梨美和子はデビューすぐさまトップの座へのぼりつめた。 その実彼女は、カリフォルニア大バークレー校を卒業、理論物理学と哲学の修士号をもつ才女だった。 昼はかわいいだけのアイドルを演じ、夜は天才少女と、二つの顔をもっているのだ。 彼女の真実の姿を知るのは、マネージャーの岡田二郎、情報通の作曲家・井上鏡四郎、 凄腕スタントマン・長谷部修の三人だけである。 虚栄にまみれた芸能界では、クスリや秘密売春、大手芸能プロの 暴力沙汰など、華やかな世界からおおい隠された事件でいっぱいだ。 六本木の夜、行きつけのジャズ・バー「ゼータ」でその事件を知った美和子は、持ち前の頭脳と 正義感で自らおとりになり、岡田、井上、長谷部の協力を得て、芸能界のワルどもを一掃する。 1992年初版刊行以来21年ぶり、ファン待望のアクションサスペンスを初文庫化。 連作短編全七編を収録。