ベック・ボガート&アピス解散から1年後の1975年に発表した初ソロ名義作品は、全米4位を記録するなど世界中で成功を収めたギター・インストゥルメンタルの金字塔にしてベックの最高傑作。ジョージ・マーティンをプロデューサーに迎え、ジャズ・ロック的な斬新なアプローチと変幻自在のキレキレ・テク、粒揃いの楽曲によって前人未到の境地に辿り着いたロック史に燦然と輝く名盤である。  
ジョージ・マーティンにプロデュースを委ね、クロスオーヴァー志向を初めて打ち出したギター・インストゥルメンタル・アルバムの金字塔(75年発表)。同じくマーティンが手掛けていたマハヴィシュヌ・オーケストラの影響下にあるジャズ・ロック的サウンドが基調だが、スティーヴィー・ワンダーの提供曲「悲しみの恋人達」「セロニアス」も収録。同時代のソウル/ファンクへの共感が滲む。全米アルバム・チャートで4位を記録。
 エリック・クラプトン、ジミー・ペイジとともに「英国ロックの3大ギタリスト」と呼ばれるジェフ・ベック。名曲「哀しみの恋人達」を収録した1975年発表のヴォーカル・レス作品。ジャズのエレクトリック化も実現し即興性豊かに仕上げた「分かってくれるかい」「スキャッターブレイン」など9曲を収録。      
ベック・ボガート&アピス解散後、ソロ活動へ移行したベックが発表したものは、またまた革新的な、全編インスト・ギター・アルバム。今ではロック・ギタリストのインスト・アルバムなど珍しくもないが、当時はまだ前例がなく、かなり衝撃的なものだった。内容的にも、ジャズ寄りのミュージシャンを従え、ロックとジャズの融合を図った、斬新で画期的なものであった。本作は’75年作品。ビートルズで有名なジョージ・マーティンがプロデュース。
アナログ盤発売当初の日本盤には『ギター殺人者の凱旋』の邦題がつけられていた。レゲエのリズムを使用した大胆なアレンジでビートルズをカヴァーした(2)。JAZZYなスロー・テンポから後半はスピード感あふれる変則リズムの曲へとドラマティックな展開をみせ、驚異的なテクニックを披露する(5)など名曲、名演づくし。(6)(7)はスティーヴィー・ワンダーが新たに書き下ろしたナンバーだが、(6)はむせび泣くような音色、感情豊かなプレイを聞かせてくれる名演中の名演で、ベックの代表曲となった。ユニークなアイデアと人間離れしたテクニックが全編に満ち溢れた、スリリングで緊張感のある名作である。
このベック初のソロ・アルバムは全米4位の大ヒットを記録。インストのアルバムがこれほどのセールスを記録するのは大きな驚きで迎えられたが、このアルバムの成功は、ロック界のみならずジャズ界へもかなりの影響を及ぼし、その後“クロスオーヴァー・サウンド”というものが一大ムーブメントを巻き起こす。そして、ついには「フュージョン」という1ジャンルとして独立するまでに発展していくのである。また、一方でギタリストがソロでも十分にやっていけるという実績を作ったアルバムで、後世のギタリストのための道を作ったという意味でも、この「ブロウ・バイ・ブロウ」は歴史的価値の高い名盤と言える。このアルバムを指してジミー・ペイジが印象的な言葉を捧げている。「このアルバムはギタリストのための教科書だ」