1982年 西脇順三郎ほか監修 恒文社
ラフカディオ・ハーン(1850-1904)はイギリス人の父とギリシア人の母のもとに生まれ、アメリカに渡り新聞記者生活を経て、ヨーロッパ文学をアメリカへ輸入した人物として有名でもありますが、1890年の来日後、島根県で英語教師を務め、小泉セツとの結婚したのちの活躍の方が著名です。日本への帰化はハーンにとって決定的な意味をもち、小泉八雲という別名をたずさえ、『知られざる日本の面影』『心』『怪談』など日本の風土から伝説、物語作者として才能を発揮しました。儒教的な礼節や神道の祖先信仰、仏教など西洋化されていない民俗学的な関心をじしんのヨーロッパ文化との比較のうえに捉え、また日本の文化を西洋へ紹介した功績はひじょうに大きなものがあります。