北浜銀行赤羽支店長に命ず―その辞令は、柊にとって血と涙の結晶だった。“お客様第一”という理想を捨て、妻子との会話も忘れ、過酷なノルマを達成した結果、同期で初の支店長になったのである。しかし、時期外れで、しかも破格の人事異動に、柊は一抹の不安を感じていた。実は人事の背後には、仕手筋の大物をも巻き込んだ、銀行上層部の周到な陰謀があった…。