Cristina Zavalloni   Soul Factor

中古盤

輸入盤

本盤は9thリーダー作かな。NYダウンタウン・シーンのミュージシャンと遠征して絡んでみた、って感じの企画。
 相方はユリ・ケインで、作曲アレンジの全編に深く関与した。

 録音メンバーはピンク・フロイドじゃなくジャズ・ギタリストの方のデビッド・ギルモア(g)や、ジーン・レイク(ds)、フィマ・エフロン(b)にケインがオルガンやフェンダー・ローズを弾いたコンボ編成。
 数曲でクリス・スピード(sax)とラルフ・アレッシー(tp)がゲスト参加した。

 ジャズ的なアプローチの曲が多いし、器楽のアドリブの場面もあるけれど。基本的にはボーカリストと演奏が絡むよりも、歌と伴奏ってポップス的なアプローチ。
 ザッバローニは多重ハーモニーをいきなりはじけさせ、ファンキーながらライブ感よりも構築美を優先させた。

 伴奏側にとってはセッションより営業仕事って感じのスタンスながら、まったくのビジネス・ライクでもない。サウンドだけ聴いても、ピシッと締まってケインの整然たるアレンジでコンパクトに疾走する爽快さあり。

 ケインは特にジャズへ寄せることもなく、ポップス的なアプローチもふんだんに取り入れキャッチーな方向性で本盤をまとめた。
 とても締まった風景が、おしゃれでスマートだ。ザッバローニの多重ハーモニーもぴしりと決まり、とても魅力的。
 
 選曲は基本的に彼女とケインの共作曲。キャロル・キング"ナチュラル・ウーマン"もカバーした。
 本質的には本盤ってジャズ寄りの滑らかさやグルーヴが聴きものなんだけど。ぼくはポップス寄りの曲のほうに強く惹かれた。
 具体的には(1)。スピード感が多重ハーモニーで強調され、とても爽快だ。

 それと(3)が素晴らしく名曲。スティーヴィー・ワンダーからアクを抜いたような、滑らかでしなやかなメロディが、べらぼうに美しい。
 誰かのカバーかと思った。軽やかなソウルフルさと、しなやかで穏やかに揺蕩うメロディが溜まらなく心地よい。