ビル・エヴァンス・トリオは、ニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードの常連でした。特に1961年6月は、連日ライブを続けて最終日の6月25日の録音から、三種類の名盤が生まれました。一つ目は、7月6日に交通事故で亡くなって、この日の録音が人生最後の公式録音になってしまったスコット・ラファロが活躍する曲を中心にリヴァーサイドがリリースした、このアルバム"Sunday at the Village Vanguard"です。二つ目は、ジャズのアルバムで一番売れたと言われる『ワルツ・フォー・デビイ』"Waltz For Debby"です。三つ目は、この日の録音を演奏順に全曲を収録した三枚組の完全盤ライヴです。少し高いのですが、この奇跡の一日の全ての演奏が揃います。
SHM-CDは、ルビジウム・クロック・カッティングによるハイ・クオリティ・サウンドが高く評価されたプレスですが、高音質のSHM-CD(Super High Material CD)は、通常のCDとは別種の液晶パネル用ポリカーボネート樹脂を採用し、素材の透明性が格段に向上したことによりマスター・クオリティに限りなく近づいた高音質CDです。素材の透明性そのままの、分離の良いクリアなサウンドは、まるでガラスの曇りを拭き取ったかのようです。オーディオで最も難しいといわれる低域の量感が引き出されたスケールの大きなサウンドです。マスターに忠実な奥行きある音場の中に、フォーカスの引き締まった音が正確に定位する、粒立ちの良い立体感溢れるサウンドが特色で、ライヴ会場やスタジオの空気をそのまま持ち込んだような臨場感、実在感が魅力的です。もちろん、CDフォーマットですから、普通のCDプレイヤーで再生出来ます。
日本のユニバーサル・ミュージックと日本ビクターの共同開発による日本独特の技術のSHM-CDの生産は日本の工場に限られていました。最近まで1ポンド120円台でしたから、日本がイギリス市場にSHM-CDを売り込もうとしても16ポンドくらいになってしまいましたが、日本の円安推進政策で1ポンド200円を超えたので、10ポンド以下で売り込むことができるようになって、最近イギリスでは日本製造のSHM-CDが売られるようになりました。人件費が安い日本は先進国にとっては工場としての魅力が評価されていますが、この出品は日本製造SHM-CDのイギリス発売盤で密閉包装されていて日本語解説も入ったままで、日本で売られているものと全く同じです。
01. Gloria's Step (take 2) 『グロリアズ・ステップ (テイク2)』6:07
02. My Man's Gone Now 『マイ・マンズ・ゴーン・ナウ』6:24
03. SOLAR 『ソーラー』8:54
04. ALICE IN WONDERLAND (take 2) 『不思議の国のアリス (テイク2)』8:34
05. ALL OF YOU (take 2) 『オール・オブ・ユー (テイク2)』8:19
06. JADE VISIONS (take 2) 『ジェイド・ヴィジョンズ (テイク2)』3:46
以下、ボーナストラック
07. Gloria's Step (take 3) 『グロリアズ・ステップ (テイク3)』6:57
08. Alice in Wonderland (take 1) 『不思議の国のアリス (テイク1)』7:03
09. All of You (take 1) 『オール・オブ・ユー (テイク1)』8:14
10. All of You (take 3) 『オール・オブ・ユー (テイク3)』8:05
11. Jade Visions (take 1) 『ジェイド・ヴィジョンズ (テイク1)』4:10