名盤 Anita Baker

Compositions


中古盤

日本国内盤
アルバム発表の’90年のアメリカでは、まだLP併売が多かったのだろう。
ライナーには、「A面のオーバーダブ:コーラス、シンセ、ギター・・、録音場所は云々・・」と書かれている。
本作の“A面(1から5)”では、すべての“リズム隊”(Ds、B、P)が同時録音、さらに3以外ではアニタのVoも加えた4人同時録音という挑戦がなされた。
この5曲では、ライブ感覚を持ち極めて高い完成度の歌と演奏が聴ける。
Pの音像が広い4と5のノリは格別で、特に、5の後半ではお互いのインスパイアが最高潮に達し、派手なソロこそ無いもののSteely Danの「Aja」のタイトル曲を彷彿とさせる。
(最も、フィリンゲインズのPのフレージング・ヴォイシング・音色は、全曲で明らかにSteely Danしてる・・最高!)

通常の録音形態で作られた“B面”も、多彩なアレンジで飽きさせない。
冒頭の6はサビで下降音階のメロディーを使い、”抜いた”感覚を出すことで見事にダイナミズムある曲に仕上げている。
そして9、後半のPソロは絶品の一語、エンディングのそっけなさ含めてライヴ感がここでも。

曲やアレンジにR&B色が薄れ、一般的な意味でのポップさがなくなったため、
この前後のアルバムに比べてセールスでは“プラチナムに留まる”結果となった。
しかし、アニタの声質にあったユニークな楽曲がギッシリの本作は、僕にとって今でも彼女の最高傑作