ハイティンクの第9番といえば、この公演の半年後、急病のヤンソンスの代役として急遽出演したバイエルン放送響との演奏では速めのテンポが話題になっていましたが、こちらはハイティンクらしい落ち着いたテンポで、なめらかな起伏の美しい演奏を聴かせてくれています。
Disc 10 [92:00]
『大地の歌』
交響詩『葬礼』
ファビオ・ルイージ(指揮)
アンナ・ラーション(Ms)
ロバート・ディーン・スミス(T)
2011年5月18日&20日(ライヴ)
オペラとシンフォニーの両方に力を入れるルイージはマーラーを好んで指揮しており、実演のほかレコーディングにも積極的に取り組み、『大地の歌』についてもシェーンベルク版の録音がありました。今回は通常版の演奏で、ソリストにアンナ・ラーションとロバート・ディーン・スミスというマーラー経験豊富な歌手を起用して大きな成果を収めています。室内楽的な音楽も多用されるこの作品と、各パートがよく聴きあうコンセルトヘボウ管の相性は良く、これまでにも、シューリヒト、ベイヌム、ヨッフム、ハイティンク、ショルティと数多くのCDで注目を浴びていただけに、今回の映像作品の登場は歓迎されるところです。
交響詩『葬礼』は、交響曲第2番第1楽章の原型で、大筋は似ているものの細部ではけっこう違いの見られる作品として近年注目度が上がり、すでにブーレーズ、セーゲルスタム、ツェンダー、リッケンバッハー、若杉弘、ウンガー、ロペス=コボス、シャイー、パーヴォ・ヤルヴィと数多くの録音がおこなわれ、マーラー好きのあいだでは市民権を得た印象です。今回は、ルイージが『大地の歌』の後にこの作品をとりあげ、シャイー盤以来10年ぶりとなるコンセルトヘボウ・サウンドで若きマーラーの書いた音楽を味わうことができます。
Disc 11 [77:00]
交響曲第10番嬰ヘ長調(クック版全曲)
エリアフ・インバル(指揮)
2011年6月30日(ライヴ)
デリック・クック補筆完成版による全曲ヴァージョンで、DENON録音から19年ぶりの演奏。深化したインバルの解釈に応えるコンセルトヘボウ管弦楽団の芳醇なサウンドがなにより素晴らしく、第1楽章では耽美的な弦と深々とした金管が織りな陶酔的な美しさが絶品。名手揃いの木管セクションの豊かな表情に支えられた室内楽的な細部も実に魅力的です。インバルの解釈は、DENON盤に較べて第1楽章から第4楽章までが若干遅めのテンポ設定で濃厚さを増し、第5楽章では逆に1分ほど速い設定で演奏にメリハリをつけ、クック版の特徴でもある薄味な印象を解消、全体に非常にバランス良く情報量の多いエモーショナルな演奏に仕上げることに成功しています。コンセルトヘボウ管弦楽団初となる10番全曲ヴァージョンのソフトは、オケの実力を改めて示す凄い内容となりました。
収録時間:916分
1080i HD 16 : 9 / Region All
音声:LPCM ステレオ、24bit / DTS HD MA 5.0
【コンセルトヘボウ管弦楽団のマーラー伝統】
マーラー自身が指揮をし、深い関係にあったコンセルトヘボウ管弦楽団にはマーラー演奏の特別な伝統があり、ここでもその本拠地での豊麗なサウンドをベースに、現代の9人のマーラー指揮者達がそれぞれの解釈を響かせ、その指揮ぶりを目で見ることができるのが嬉しい限り。
【名ホールでの演奏をHD画質と高音質で収録】
HD機器での収録だけに画質・音質共に高品質。繊細なソロから壮大なトゥッティまで余すところなく捉えているのは、すでに経験豊富な本拠地コンセルトヘボウのグローテ・ザール(大ホール)での収録という好条件も幸いしたものと思われます。(HMV)
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